通所リハビリテーション(デイケア)

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コミュニティに生きる

2016年6月1日(水)
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大原の地域情報発信施設「里の駅 大原」では、地元の特産物を販売しており、旬の野菜には地元の方の名前と写真が添えられている。その中に、照れた笑顔の写真と共に、森下寅一様の名前があった。パックいっぱいの完熟いちじく。森下家で作った物だという。
 
森下寅一様は、3代続く大原の家に生まれた。生粋の大原生まれ、大原育ち。70歳まで農業に従事し、学校の用務員としても勤めていた。しかし、平成26年頃から自宅に閉じこもりがちになり、体調を崩したことをきかっけに、博寿苑利用に至った。利用開始したばかりの頃は寡黙な印象で、廃用症候群によりベッドで横になって過ごしていた。それが、リハビリを開始して約1年。今では歩行状態も安定し、屋外歩行800メートルを速足で歩き切る体力が戻った。
 
「ちょっと歩いてくるわ! やっぱり歩かなあかん!」――当初の元気のない様子が嘘のような、お茶目で快活な人柄。徐々に笑顔が多くなり、リハビリに熱心に取り組まれるようになってきたのは、同じテーブルに集った大原出身の他利用者様との関わりが大きかったのだろう。病気もした。入院もした。しかし、博寿苑に来れば皆がいる。「あいつがまだ頑張ってるなら、俺も頑張らななぁ」。それは毎週行われる同窓会のようだ。
 
以前は畑仕事のプロフェッショナルだった森下様。リハビリで屋外歩行をする際に、菜園や小川を眺めながら、「この葉はすぐきや」、「この辺りにはセリがごぼっと生える。鍋にしたらうまいで」と四季折々の野菜についてスタッフに教えてくれる。大原の土地に誇りを持ち、豊かな自然を愛している。その目は実に生き生きとしていた。
 
以前のように本格的にはできないが、奥様の支えがあり最近は畑の水やりを再開したという。些細なことかもしれないが、役割を持つことも生活内のリハビリだ。歳と共にできないことも増えてくる。しかし、土地と人との繋がりが、豊かな日常を取り戻してくれた。扉を開け、外に出よう。まずはそれがリハビリの一歩になる。